第17回 蔵王温泉 【山形県】
蔵王連峰の北西、標高900mに湧き、高湯・白布と並んで奥羽三高湯に数えられる。西暦110年、日本武尊(やまとたけるのみこと)の東征に従軍した吉備多賀由(きびのたがゆ)が発見したという伝説が残る古湯でもある。長く湯治場として知られてきたが、昭和になってスキー場や蔵王エコーラインが開かれて観光型の温泉となっていった。「最上高湯」の名が「蔵王温泉」と改められたのは昭和25年のことだ。
以来、レジャー型と湯治型が混在する温泉地となっている。昔ながらの温泉街には共同湯が点在し、スキー場付近では大型のホテルが建ち並ぶ。そして個性的な硫黄の匂いが一帯を包み込んでいる。
ここの湯は力強い。まずその湧出量。町の中心の酢川温泉神社から続く参道に沿う湯尻川をはじめ、付近の一度川、二度川、三度川の中流域から湧き、1分間に約5700リットル、1日にすれば8700トンもの湯が噴き出していることになる。しかも自然湧出だからウソ偽りがない。泉質は強酸性の硫黄泉と、典型的な火山温泉。pH(ペーハー)は1.25〜1.6前後で、酸性の強さは国内ベスト3に入る(水道水のような中性は7.0前後)。肌にちょっとした擦り傷でもあればピリピリする。ちなみにレモンの酸度はpH2.5。蔵王温泉ではレジオネラ菌も生息できない。
その蔵王温泉のシンボルが「蔵王温泉大露天風呂」。“大”というだけあって湯船は広く、男女合わせて200人は一度に入ることができるという。広大な風景を展開する蔵王に似つかわしいスケールである。男性用は大きな湯船が2段になっていて、湯滝も落ちる。すごい開放感である。女湯も負けてはいない。建物地下部の湯船や川の中の湯船などもあり、こちらの方が楽しかったりする。5カ所の源泉から毎分820リットルを湧出するという温泉は、やや乳白色に染まっている。これを上から眺めると、ミルキーホワイトの湯が天然石の色合いと相まって、薄いブルーを溶かし込んだように見えて美しい。ただし、長湯は禁物。強酸性だからあまり浸かりすぎると湯あたりしてしまうからだ。
一方で、温泉街には昔ながらの共同湯=外湯が3軒点在している。木造板張りの浴室に湯船を設け古い木製の引湯管も残る「上湯」、足湯も併設し賑わいを見せる「下湯」、地面から自然湧出する真上に小屋掛けし、湯船の底からじわじわとあふれ出す湯が不思議な感じの「川原湯」。このいずれかに入れば、蔵王の本当の湯に触れることができる。
温泉街にある名物のお土産や食べ物も楽しみ。蔵王職人の技を今に伝える高湯系・蔵王こけしは素朴で美しい色合い。柔らかい餅でこし餡を包んで笹の葉に乗せた、可愛いひと口大の「稲花餅」(いがもち)は蔵王温泉伝統の味。また、意外にも蔵王はジンギスカン発祥の地ともいわれ、クセのないラム肉を味わえるお店もある。
今年で開湯1900年を迎えた蔵王温泉では、これを記念する各種イベントや記念事業を展開中だ。最初に発見された源泉である上湯に往年の「湯壺」が復元されたり、50年前まで温泉街2カ所にあった「水車」も再現。新たに「千人足湯」も設ける。また観光施設で各種割引や優待が受けられる「センキュー(1900)ブック」も製作し、旅行客に現地で配布しているので、大いに活用したい。
◆泉質◆
酸性・含硫黄-アルミニウム-硫酸塩・塩化物温泉
◆効能◆
切り傷、やけど、慢性皮膚病、虚弱児童、慢性婦人病、糖尿病、高血圧症、動脈硬化症など
| <所在地> 山形県山形市蔵王温泉 |
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| <問い合わせ> 蔵王温泉観光協会 電話:023-694-9328 公式ホームページ |
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<アクセス> 電車: JR山形新幹線・山形駅からバスで約40分 車: 山形自動車道・山形蔵王ICから約17km |