文具店の風景

文具店受難の時代、文房四宝をキーワードに

趣味の領域に力を入れて生き残る

株式会社キクチ

 文具のキクチは仙台市中心街の青葉区一番町、地下鉄南北線勾当台駅から徒歩1分、ケヤキ並木で有名な定禅寺通りを三越の先を左折すると目の前にある。4階建のビルの1階が文具・事務用品、2階が和紙・筆、3階が洋紙・ラッピング用品・画材、4階が事務所である。ほかに宮城野区銀杏町にオフィス関連用品を扱う外商部があり、扱い商品は2万点にもなる。

 創業は昭和24年で、27年には現在の「株式会社キクチ」に。二代目菊地和男社長が父親の跡を継いだのが平成3年だ。ソ連が崩壊し日本ではバブルが崩壊した象徴的な年だが、当時はまだ「黙っていてもオフィス機器などがどんどん売れた」(菊地社長)と言う。その後は文具事務用品店にとって受難の時代が続いている。
人口100万人を超える政令指定都市仙台でさえも市内に店舗を持つ文具・雑貨店は大幅に減少。仙台市で1位、2位を争った大店も、一番町にあった他の店も今はない。

 キクチが生き残ってきたキーワードが「文房四宝」「コミュニケーションツール」「文化」だ。
今ではあまり使われないが、文房四宝とは文房具の中心である筆墨硯紙を指す中国の言葉である。鉛筆やペン、ハガキ、便箋、封筒などを含めた筆墨硯紙は、手紙などを書くのに欠かせないコミュニケーションツールである。こうした文房具を通して生まれる日本の文化を陰で支えているのが文具店だとの思いが菊地社長にある。「文具店は流行の雑貨や値段だけを訴求していくと存在価値がなくなる。文房四宝への思い入れがないと店を維持できない」と菊地社長が語るのはそういう意味だ。
 現在、お客さんの9割が女性である。お隣の三越や仙台市のギャラリーホール、カルチャーセンターに行った帰りに立ち寄るお客さんが多いという。

書道、日本画、ちぎり絵、墨絵、絵手紙などお客さんの趣味の領域絡みの筆や和紙洋紙類の充実が、他の文具店にはない大きな特徴だ。仙台市における絵手紙の普及や関連商品の販売では草分け的存在でもある。
品揃えだけでなく、個々の商品でもキクチオリジナル商品を徐々に増やし他店との差別化を図っている。
紙専門店だった創業当時からのつながりを生かして、ハガキなどは越前や四国の漉き元に別注で漉いてもらったオリジナル商品である。最近は筆も徐々にオリジナル商品を増やしている。産地からダイレクトに仕入れることでお客様の要望を反映しやすい。

 それから忘れてはならないのが仙台七夕との関係だ。
 キクチのメイン商品の一つ和紙七夕キットの資材は四国の漉き元に色から染めて作ってもらっており、全国各地から注文がある。一方で、仙台七夕の普及、地元の文化を残す活動の一環として、奥さんの菊地専務がボランティアで小学校の総合授業等で毎年七夕の歴史・由来や作り方の講習会を行っている。キクチのHPの「仙台七夕浪漫」でも詳しく歴史・由来、作り方を紹介しており人気のコンテンツになっている。

 菊地社長は5年前から仙台市文具事務用品組合長、宮城県文具事務用品組合連合会会長も務め、忙しい日々を送っている。
 文具事務用品組合の文化事業には今年で38回目を迎える小学生を対象とした仙台七夕絵画コンクール(仙台市文具事務用品組合主催)がある。3年前にはコンクール入賞作品を韓国に持って行きで交流の絵画展を行っている。
文具店受難の時代にあって、文具店は文化に担い手であるという矜持が菊地社長を支えている。

会社概要
株式会社キクチ 代表取締役 菊地和男

本社・店舗
〒980-0811 宮城県仙台市青葉区一番町4-10-18
TEL.022-222-7511
FAX.022-263-1696

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外商部
〒983-0047 宮城県仙台市宮城野区銀杏町16-12
TEL.022-291-2350
FAX.022-299-4626

事業内容 オフィス用品・OA機器・文具、書道用品・和洋紙などパーソナルステーショナリーの販売

HP:http://www.kk-kikuchi.com/

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