創業35年を迎える
東武伊勢崎線唯一の和紙専門店
和紙の中野
和紙の中野は今年5月で創業35年を迎える東武伊勢崎線沿線で唯一の和紙の専門店である。
東武伊勢崎線蒲生駅東口を出て旧4号線(日光街道)を左折して100メートルも行くと左手に見える2階建てのお店だ。
1階には500種類に及ぶ和紙類が陳列してあり、レジ横の階段を上がると2階はちぎり絵や切り絵、クレイアート、絵手紙など日替わりで24教室を開講している「あとりえ通草(あけび)」がある。その奥は作品展が開催できるギャラリースペース。現在(3月3日まで)は「第7回うれしい たのしい ひなまつり展」を開催中だ。
和紙の専門店として創業35年は取り立てて古いわけでもなく、沿線唯一の店と聞かされてもピンとこないかもしれない。
次の数字を見てもらいたい。
和紙には機械漉き和紙と手漉き和紙があるが、和紙の中野が主に扱っている手透き和紙は、生産農家が1970年代後半から半減、生産量は10%に満たないといわれる。金額ベースで見ると平成10年度の全国の手漉き和紙出荷金額513,400万円で、平成20年度は280,800万円(経済産業省調査統計部)とこの10年で半減している。
和紙は書道用紙、半紙、画仙紙、工芸紙、ハガキ、便箋、折紙、千代紙、色紙ほか様々に加工販売されるので最終的な手漉き和紙商品の売上高は28億円よりも大きくはなるが、それでも手漉き和紙の生産・加工・販売に関わる関係者にとって極めて状況が厳しいのは数字が示す通りである。
さらに、和紙の中野は市の中心部や繁華街にあるのではない。近くにデパートや大型スーパーもない。多くのお客さんは和紙を求める目的だけで電車に乗り、蒲生駅かもう一つの最寄り駅JR武蔵野線南越谷駅で降りて来るのである。これはやはりすごいことである。
和紙の中野は店主中野郁子さんがほとんど一人で切り盛りしている。栃木県の旧家の生まれの中野さんは、祖父や父親が書道、俳句、詩吟、剣道が趣味で「日本の伝統文化に囲まれて」育った。後に幼稚園教諭していて縁があったこの地で結婚。長男を出産した半年後の28歳の時、ご主人との間で「育児、家事、義父の世話をおこたらない」条件をクリアすることを前提に、最初は書道関係の和紙を扱う店として開業。義父が営んでいた文房具店を利用したことやご主人がサラリーマンで安定した収入があったことなど無理な投資や商売をする必要もなかったことも幸いした。
当初現在の6分の1程度だった店は、和紙や千代紙など自分が欲しいいと思う紙を揃えることや「お客さんの求めるものは1枚でも探して仕入れる」ことを心がけ、品揃えを充実させていって和紙専門店にふさわしい現在の規模に。一方で、「和紙の使い方が分からない人に少しでも知ってもらいたい」という思いと和紙を使ったちぎり絵や和紙人形の作家や先生の求めもあって、子供たちが成長し巣立っていった後の2階の空いた部屋を改造して教室やギャラリースペースにしていった。始めは和紙に関係する趣味の教室だけだったが、最近は頼まれて他の趣味の教室にもスペースを貸すようにもなった。
こだわり続けていることがある。
それはひとり一人のお客さんに細かく接して心を通わせることであり、和紙や第2の人生の趣味探しの情報が得られる楽しい店でありたいという思いである。教室「あとりえ通草」も一つだが、「和紙は色や柄、厚みなど実際に手で触って見ないと良さは分からない」と対面販売にこだわり、インターネット通販の誘いは全て断っていることからもうかがえる。
価格が洋紙に比べ和紙は2、3割高い。だからいらないものまで勧めることはしない。「売る気があるの?」と言われたこともあるらしいが、「和紙の販売は夢を売る商売。気に入ったものだけお買い下さい」と意に介さない。
仕入れは創業以来すべて紙問屋を通して行ってきたが、業界でも知られる有名店になったことや前述の和紙売上高の激減などもあり、近頃では直接和紙生産メーカーが取引をしたいと訪ねてくるようになった。
「若い頃は幼稚園の教諭が天職と思っていたが、今はこちらが天職と思えるようになった」と語る中野さん。人との出会いを大切に、こだわりの和紙で夢を売りつづける。
- 会社概要
- 和紙の中野
- 代表 中野郁子
- 店舗
- 〒343-0836
- 埼玉県越谷市蒲生寿町4-11
- TEL.048-986-2684
- FAX.048-986-2691
- 事業内容 和紙、紙製品、お香、お線香、紙せっけんほか
- 教室 和紙人形 押し花 ちぎり絵 折り紙 俳画
- はがき絵 きり絵 日本画 クレイアート 書 津軽こぎん刺し
- 絵手紙 ラッピング つるしびな 水彩画 香道 パッチワーク
- HP:http://www15.ocn.ne.jp/~akebi/index.htm









